「本を守ろうとする猫の話」感想【本好きは共感の嵐です】

こんにちは、もも助です。

今回は「神様のカルテ」の著者、夏川草介さんの書かれた「本を守ろうとする猫の話」のブックレビューをしていこうと思います。

本好きにはぜひ読んでほしい一冊です。

目次

あらすじ

夏木書店を経営していた祖父が亡くなったことで、一人ぼっちになってしまった主人公。

そこに突然現れた謎のトラネコ。その猫に導かれるがままに不思議な出来事に遭遇していく。

「本を開放したい」というトラネコの願いをかなえるべく、主人公は様々な障害に立ち向かう。

神様のカルテとは一変して、ファンタジー小説となっています。

猫が喋ったり、突然ワープしたりとファンタジー感満載でワクワクした気持ちで読めました。

「本を守ろうとする猫の話」レビュー

本を普段読まない人に読んでほしい

この小説を読み終えてまず感じたことは、「本を読まない人」に読んでほしいという事。

でも、本を読まない人はこの小説に出会うこともないので残念な気持ちです。

本好きの人なら共感できる場面や名言がたくさん出てきます。

タイトルの通り、本を守るために主人公が戦っていくわけですが、主人公の哲学や思考が本好きそのもの。

幼いころから古書店に入り浸っていた主人公は、古典のような名作中の名作を読みつくしています。

そして本を読む意義や重要性について、自分なりの哲学を持っています。

物語の最後には、なぜ本を読むのか?という問いに対して一つの結論を出しています。(ネタバレになるので書きません。ぜひ読んでほしいです!)

読み進めていく中で、主人公の考えに共感でき、まるで自分の考えを代弁してくれているかのような気持ちになります。

また、著者の本に対する愛もひしひしと伝わってきます。

主人公の成長

主人公の夏木は、両親を亡くし、祖父と暮らしていました。

ですがその祖父もなくしてしまい、深い孤独に陥ります。

学校にも行かなくなり、親しい友人もいませんでした。

そんな夏木が、ある日トラネコと出会ってから様々な課題に挑んでいく中で、少しずつ変化していきます。

大きな変化はなくとも、着実に成長していく様子を見ていて、勇気をもらえます。

夏木は臆病なとこもありながら、本に対してはまっすぐな発言をします。

本を愛している人は、こういう扱い方はしないものですよ

小学館 単行本46ページ

音楽が音符だけでできているわけではないように、本だって言葉だけでできているわけじゃない

単行本96ページ

持ち前の本に関する知識と、まっすぐで純粋な哲学・思考ではっきりとした物言いをします。

このギャップが、夏木の魅力を引き立てています。

読書観が変わる

第一の迷宮、第二の迷宮と、夏木の前に刺客が現れてくるわけですが、すべての人物が、独自の読書観を持っています。

たくさん読むことが良いという多読や、早く読むことを正義とする速読。

どれも間違っているわけではありません。ですが読書好きならわかるように、本を読む意味を考えたとき、それらは不適切な方法だとわかります。

私は読書をする全ての人に、こういった価値観が少なからずあると思います。

少ないよりはたくさん読んでいた方がよい気がするし、早く読めるなら早く読んでしまいたい。ベストセラーだから読んでおこう。読むのがしんどいから、○○大全や、箇条書きされたビジネス書を読もう。

こんなことが一度はあるはずです。

娯楽として本を消費するのは自由です。でもこの小説を読んで、読書について考えを改めようと思いました。

ゆっくり読むからこそ見えてくるもの。

何十年、何百年と受け継がれてきた名作にしかない感動や知見。

本好きとして、一度読書について考え直してみようと思わせる小説です。

内容だけじゃない!本自体も!

私は単行本で購入しましたが、内容だけでなく本自体にも愛を感じました。

表紙のカバーをめくると、可愛い猫柄のカバーが貼ってありました。

しおりの紐もついていて、愛着の湧く本です。

本を守ろう!

今回は「本を守ろうとする猫の話」のレビューでした。

読みやすく、読書好きにはたまらない一冊です。普段読書をしない人に届いてほしい小説です。

私もこれから本を守るつもりで、大切に読書をしていこうと思います。

文庫版も出てますが、個人的にはぜひ単行本で読んでほしいです。

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