皆さんこんにちは、もも助です。
今回は私の文章の先生である、近藤康太朗著「三行で撃つ」のレビューです。
今まで数冊、文章に関する本を読んできましたが、この本は一味、二味違います。もはや別料理です。
文章術の本ですが、人生とは何か、生きるとは何かについて考えさせられます。
この記事を読んで気になった方は、ぜひ一読を。
著者は朝日新聞の記者であり、猟師でもあります。
近藤節と言われる、他とは違う文章に、ページをめくる手が止まりません。
三行で撃つ〈善く、生きる〉ための文章塾
第一章 文章の基本
「うまい」文章とは何か
「うまい」文章とは「わかりやすい」文章です。
わかりやすいとは、筆者の伝えたいことが、相手に誤解なく伝わるということです。
うまい文章を書く原則は、次の三つです。
- 文章は短くする。
- 形容語と被形容語はなるべく近づける。
- 一つの文に、主語と述語はひとつずつ。
吾輩は猫である。名前はまだない。
かの有名な夏目漱石の書き出しです。短くシンプルで、わかりやすいです。
短く、近く、シンプルに。
これだけで、すぐにうまい文章になります。
文章を書く上で、書き出しは最も考え抜かねばなりません。
本書のタイトル、「三行で撃つ」とは、書き出しのことです。
小説に雑誌、新聞、SNS・・・世の中は文章にあふれています。それだけ読者の数もいます。
ありふれた文章の中で、読者を振り向かせるのは至難の業です。
文章は誰が読むかわかりません。もしかしたら誰も読まないかもしれない。
でも、誰かに伝わることを信じて、書き続けなければなりません。
一度見つけた獲物は逃してはいけません。
一発目、一行目が肝心。
あなたにしか書けないものは、あります。
第二章 禁じ手をしる
常套句を捨てる
常套句とは、定型、決まり文句のことです。
「抜けるように青い空」「燃えるような紅葉」「台風の目となる」
初めてこの表現を使った人は、優れた感性の持ち主です。私なら「一生かかっても」思いつかないでしょう。(これも常套句でしょうか)
常套句はライターの目を狂わせます。常套句を書いた時点で、その人は自分の目で見なくなります。
他人の感性、感想、五感を頭の中で感じているだけです。
「美しい」花を見つけたら、美しいと書かない。
自分の目で見て、嗅いで、触って、感じて、自分の言葉で表現する。
オノマトペも、常套句です。
オノマトペとは、擬音語、擬態語です。ペタペタ、がらがら、ばたばた、わんわん、きらきら・・・
使うなら、新しいオノマトペを自分で開発し、世に流行らせる。それくらいの気持ちで書きましょう。
流行語にも注意
エモい、やばい、ナウい。
流行語を使うなとまではいきませんが、注意が必要です。
書くべき時と場所、賞味期限に注意です。
起承転結
小学校から何度も言われてきた「起承転結」
有名な作家やライターには、節、クセ、味があります。だから自分も真似しようと初めから自分流で書くのは良くない。「型」があってこその、「型破り」です。
特に「転」が重要。
本書でも「転」はかなり詳しく書かれているので、次回以降記事にしたいと思います。
五感を他人にゆだねない。
自分の五感を磨き抜きましょう。
第三章 ライターの心得
誰でもライターになれるのに、なれないのはなぜ
ライターになりたりたければ、なればいいんです。
記事を書いて、編集に持っていく。それだけです。ハードルが高ければ、ブログでもnoteでもTwitterでも。
良い文章は売れるし、つまらなければ売れない。
ライターになるとは、感性を磨くということです。
世の中が面白くなければ、無理をしてでも面白がる。世界がつまらないのは、世界のせいではなく、貴方の感性が鈍いからです。
世界をとらえきれなくてもあきらめない。
今の私の感性ではとらえられないのだと知り、好奇心をもって、五感を研ぎ澄ます。
質問力を鍛える
質問する力を磨く。
これがなかなか難しいです。
本を読み、過去の記事を調べて、考えつくす。そうして考えついた質問を、さらに考察する。
取材でもそうですが、日常の生活でも当てはまります。
ふと、「なぜ空は青いのか」と疑問に思う。ネットで調べたり図書館で百科事典を開いたりしてみる。そうして次に「大気とは何か」「オゾンとは」「宇宙とは」など矢次に質問する。
世界を変えるのは問いです。問いをつくれるのがライターです。
第四章 書くための四つの道具箱
一段目 語彙
本を読み、辞書をひく。
たったこれだけで、語彙は増えます。
語彙は多ければ多いほど良い。
本を読み、作家が自分に憑依するまでに読み込む。
好きな作家の本を片っ端から読む。そうして取り込んだ語彙をどんどん使う。調べる。
別の作家が気に入れば、また同じことを繰り返します。
そうして残った語彙は、確実に自分のものとなっていきます。
なになに的を使わない
語彙を増やすには、何かをやめてみるのも良い手です。
例えば「日常的」に使う「~的」という言葉。
意図的、恣意的、一般的、悪魔的・・・
これをいったんやめてみる。別の表現を考えてみる。
あえて禁止することで、言いかえを考え、辞書を引き、語彙が増える。
二段目 文体
文体、スタイル、くせ、ルーティン、品格。
筆者は、スタイルのない人間は、みじめだと言います。
スタイルの練習 四つの「主」を変える
本書に書かれていた、スタイルの練習法を見ていきます。
主語を変える
私、僕、俺、おいら、おれ、ぼく、自分、我・・・。
一人称を変えることで、筆が伸びます。
主題を変える
書くテーマを変えてみましょう。
普段音楽についてばかり書いている人は、文学や映画を見てみる。あるいはしばらく音楽を聴かないというのも一つの手です。
主義を変える
昔からの癖、興味のないこと、スルーしていたもの。
それらを意識的に取り込んでみる。自分の主義を変えるとはそういうことです。
スタイルは変えないことに価値がありますが、自分のスタイルを豊穣させる為なら変えてみる。
その覚悟が必要です。
主体を変える
いわばキャラを変えるということです。
夏目漱石の坊っちゃんが好きなのであれば、坊っちゃんならこう書くだろうと想像してみる。
キャラは着脱できます。自分にうまくはまれば、そのキャラが自分のスタイルとなっていきます。
スタイルは一つである必要はありません。カラフルなほうが、人生もカラフルになります。
三段目 企画
企画とは、私には何が書けるかです。
いまはSNSでもブログでも、誰でも情報を発信できるようになりました。
ですが、誰でもできるということは、あなたでなくても良い、ということです。
では、私にしか書けないものとは何か。
それは「感情」です。私だけの喜怒哀楽。
なかでも「楽」、ユーモアは難しいです。
文章で笑いを取るのは、一番難しい。
撃つ前に探す
読者は何を求めているのか。
自分はどの層にめがけて文章を書くのか。狙いの定まっていない弾は当たりません。
企画を考えるうえで、重要な獲物を探しましょう。
企画を探すうえで、本書では新聞の書評や図書館の活用が勧められています。
企画とは、自分自身を知る作業です。
問いを持ち、自分を知る。自分を発見する。
四段目 ナラティブ
ナラティブは、話術、語り、叙述部分です。
〈なに〉に感動したのか、〈なに〉がやばかったのか。
〈なに〉を具体的に、飽きさせないナラティブで惹きつけ、語る。これがライターの仕事です。
好きなものをナラティブしてみましょう。
映画、料理、スポーツ、小説・・・。
ナラティブは人の数だけあります。
自分の感動を、自分の語彙で、自分の企画で、自分のスタイルで伝える。そして自分のナラティブで他者に通訳する。
人に話し、心を動かすことができる。それがナラティブです。
総括
かなり長くなりましたので、ここらでいったん区切らせてもらいます。
続きは次回のお楽しみということで。
ここまでご覧いただきありがとうございました。
よろしければ別の記事もご覧ください。
もも助でした。
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